2019.6.23 学生スピーチ

首都大学東京大学院 修士2年 S.A.

首都大は学費・奨学金で悩む学生の実態がよく表れた大学だと思います。首都大で集めた実態調査の声や、私の経験から、学生の現状についてお話させていただきます。

首都大には学費を判断基準に入学してくる学生が多くいます。みなさんは今の大学1年間の授業料が大体いくらかご存じでしょうか。私立大学の平均は104万円、国立大学が53万5800円。首都大は、年間52万8百円です。私立大の半分、国立大の標準を下回る、トップクラスの安さです。

首都大で行った実態調査では、大学を選ぶにあたって、学費を判断基準とした、という人が8割にも上りました。調査では「近くの私立大に合格していたが、学費の関係で首都大を選んだ」、「私立大学の受験はダメだと言われ、興味のある学部があっても受けさせてもらえなかったし、自分も受けたいと言えなかった」、「浪人する経済的余裕がないので、受験する大学のレベルを下げた」、などの回答がありました。経済的理由から、国公立1本で受験するなど、大学選びの段階から選択肢が狭められている現実があります。

選択肢が限られるのは入学するときだけの話ではありません。実態調査で多かったのは、留学したい、という声でした。学費が無償になったら、「学費にまわしていたお金で留学したい」「もっと海外研修に参加したい」「海外の大学で学んでみたい」、と学びたい思いがたくさんつづられていました。

もう一つ多かったのが、大学院に行きたいという声です。「大学院に行きたいが、学費が高いので行けないかも」、「大学院に行くという選択肢も考慮に入れ、留学なども考えたいが、文系で親にも頼めず諦めている」などの記述がありました。

私は現在、大学院の理学研究科の修士2年生ですが、親からは「大学院なんていかなくてもいい、早く就職すればいい、私は払わないからどうしてもいきたいなら自分で払いなさい」と言われ、アルバイトで学費を賄っています。親の稼ぎはあるので、無利子の奨学金の条件には該当せず、借りられません。私以外の学生でも、家庭の経済状況は悪くないが、学費を出してもらえないのでアルバイトや有利子の奨学金で学費を賄っている、という学生はいました。私も首都大の学費がもっと高かったら、大学院に進むという選択肢はなくなっていました。

大学院での学びはここでしかできない意味のあるものだと本当に日々感じています。学部までの勉強とは大きく異なって、自分で課題を発見、設定してそれを解決する力が求められます。これまで、与えられた課題をひたすらにこなすだけだった私にとっては、難しく大変なことも多いですが、社会に出ても非常に役に立つ力を身につけられていると実感しています。私は大学院で研究をできている、今の状況に本当に感謝をしています。

でも、自分で稼いだお金で大学院に通う、それってすごい、すばらしい、って言えることなのでしょうか。私が払っている年間52万の学費って安いのでしょうか。

私はそうは思いません。せっかく思い切り勉強できる環境があって、そこに没頭することでしか得られないものがあるのに、アルバイトに時間を使わなければならない、お金の心配をしないといけないというのはもったいないことだと思います。52万円の学費も、生活状況によっては決して安いと言えないと思います。お金が払えないから、お金を借りないといけないから、進学できないという制約があるのは、本当にもったいなくて悲しいことです。

高等教育の無償化が実現すれば、学生の学びたい願いが叶います。でもそれだけではなく、社会の利益にもなります。経済状況や家庭環境に左右されずに、全ての人が大学・大学院での教育を受ける権利が保障されたら、優秀な人がどんどん育っていくと思います。大学にはその環境があります。大学での学びはもっと発展すると思います。教育が良くなれば、社会全体も豊かになると思います。

 

そんな社会にするために、いま、私たち学生の声を集めて、届けることが必要なんだと思っています。私たちの学びたいという思いをどんどん集めて、世の中を変えていきたいです。多くの人が当事者として、少しでも協力してくれることが必要だと思います。みなさんもぜひ一緒にがんばっていただけたら幸いです。

ご清聴ありがとうございました。